理事長挨拶

日本香粧品学会 理事長

学会員の皆さまへ

日本香粧品学会 理事長 林 伸和

 2025年7月に石河晃前理事長の後任として第7代の理事長を拝命しました。本学会は、1976年に初代理事長の安田利顕先生により設立されて50年を迎えました。本学会の目的は、「香粧品の有用性と安全性等に関する研究や科学的議論を通じ、美しく健康に過ごす生活を実現することにより社会に貢献すること」にあります。安全で有用な香粧品を提供するために、香粧品企業、大学、学部、官民などの垣根を越えた広い視野に立って議論していただき、その結果を具現化できるように努めたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
 本学会の近々の目標の一つに、石河晃前理事長のもとで立ち上がった香粧品セーフティアセッサー(Safety Assessor:SA)教育認定部会の活動を進めることがあります。SAは、既にEU、ASEAN及び台湾で導入されている製品情報ファイル(Product Information File:PIF)による香粧品の品質・安全性管理システムの中で、安全性に関する報告書に、責任をもって作成・署名する、安全性に関する専門家です。日本においても国際基準レベルで安全性を評価できる人材の育成が必要と考えられたため、本学会でSAを教育・認定する制度を作ることにしました。ドイツで展開されている教育プログラムと認定制度を導入することで、国際的にも通用する資格を目指して現在作業を進めています。
 中長期的な目標として、新規有効成分配合の香粧品の実用化の道筋をつくることと、次世代を担う人材確保があります。現在、香粧品の開発を目的とした動物実験ができないため、in vitroやin silicoでの代替試験を用いて香粧品の安全性を担保する必要があります。しかし、必要かつ十分な代替試験の基準が明確になっているとはいえません。企業の香粧品開発者、大学や研究所などの薬学研究者、皮膚科医、さらに許認可を行う公官庁やPMDAとの議論を深め、進展させたいと思います。また、科学的根拠に基づいた議論と実践を通じて、香粧品の有用性や安全性を支えるためには、香粧品の研究者や香粧品に関心を持つ皮膚科医が必要です。次世代を担う質の高い人材の育成と探求を続けていきます。
 本学会のさらなる発展のため全力を尽くす所存ですので、皆様方のご指導、ご支援を賜りますよう、よろしくお願いいたします。

2025年8月